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透析の敵 MIA症候群

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透析患者さんは慢性的に栄養障害リスクがあることはnPCRのページでご理解いただけるかと思います。
また、透析患者さんは透析療法を行う上で避けることのできない炎症リスクを日常的に背負っています。

ところで患者さんおよび透析医療従事者のみなさん、MIA症候群について知っていますか?栄養障害および持続性炎症を認める患者さんは動脈硬化性心血管疾患を高率に発症することからMIA(malnutrition inflammation atherosclerosis)症候群 と呼ばれています。

持続性炎症の原因

・感染症をはじめとした合併症
・透析液中のエンドトキシンやダイアライザ、透析液の非生体適合性
・酸化ストレスやインスリン抵抗性,さらに催炎症性サイトカインのクリアランス低下や尿毒症性物質
このように様々なものがあげられますが、いずれも透析療法を行う上で避けることのできないリスクとなります。

 

栄養指標GNRI(Geriatric Nutrition Risk Index)

GNRI= 14.89 × 血清Alb値(g/dl)+41.7 × ( DW / 理想体重(IBW))


※理想体重IBWはBMIが22となる体重 (DW>IBWの場合DW/IBW=1)
この値はCRPやIL-6などの炎症マーカーと相関しており、GNRIが高い(栄養状態がいい)患者の炎症マーカーは低いというデータがあります。(下図)

透析会誌 45(10):937〜945,2012より抜粋

GNRIの式から、痩せている患者さん、Alb値の低い患者さんは炎症リスクが高いと分かります。これが前述のMIA症候群へとつながります。逆に言えば慢性炎症状態を改善することで低栄養状態から脱却できると考えることもできますね。

透析の敵 MIA症候群

MIA症候群とは「栄養障害および持続性炎症を認める患者さんは動脈硬化性心血管疾患を高率に発症」する病態のことを言います。

MIA症候群って?

  • M:malnutrition (低栄養)
  • I:inflammation (炎症)
  • A:atherosclerosis (動脈硬化)

MIA症候群への対策

MIA症候群は栄養障害や炎症リスクから、患者さんにとって避けることのできないリスクであると思っています。
しかし、透析療法の工夫や食事の工夫など、多面的にアプローチすることで、そのリスクを軽減することが可能です。

医療従事者によるMIA症候群への対策

・徹底的な透析液の清浄化
・生体適合性のよい透析材料の採用
・患者さん個々に合わせた透析条件の設定(効率がよければいいという考えはNG)
・透析患者さんの「痩せ」への対策(リハビリや食事指導、場合によっては訪問看護や訪問リハビリテーションを使った実際の在宅生活に即した指導の実施)
・クレアチニン産生速度%CGRに着目した運動指導
・H12ヘモダイアライザーAN69(積層型透析器)の採用

さらっと%CGRについて

筋肉量と運動量を反映する値。血清Cr自体は老廃物のため、透析において積極的に除去する必要があるが、%CGRが高いこと自体は死亡リスクを軽減させます。

%CGRと死亡リスク わが国の慢性透析療法の現況2008 一部改変

さらっと積層型について

歴史的に古くH12という合成高分子膜自体は1969年に開発された膜。国内では1983年にAN69を用いたH12ヘモダイアライザーとして承認されました。
炎症サイトカインの吸着やアルブミン漏出が極めて少ないという特長があり、MIA症候群の病態対策ととてもマッチしている膜。
また、抹消循環改善効果もあり、現在は透析患者さんの下肢救済のためのデバイスとしても注目されています。

患者さんによるMIA症候群への対策

蛋白摂取・運動量UPによって体重を増やす(水太りではなく筋肉増強によるDWのUPが必要)
どうやったらいいのかわからない患者さん、病院で聞いてください。必ず助けになってくれると思います。
特定積層型が気になる患者さんも透析施設で相談してみてください。
それでもわからない患者さん、ご連絡ください。助けになれると思います。

MIA症候群を防ぐことが生命予後を改善させる

脳血管障害や心筋梗塞などの動脈硬化性疾患が透析患者さんの死因の多数を占めています。MIA症候群を予防することで上記リスクを軽減させることが可能です。

低栄養状態は感染症の易感染性を高めてしまうため、低栄養状態を改善させることで感染症対策にもなります。(ちなみに透析患者さんの死因2位は感染症)

MIA症候群 まとめ

MIA症候群への対策は、日常のちょっとした工夫で可能であり、難しいものではありません。
透析患者さんの死亡リスクの軽減(脳血管障害 動脈硬化性イベント 感染症など)に間違いなく寄与します。
患者さんと透析医療従事者が一丸となってリスク対策を行うことが大事ですね。

  • この記事を書いた人

koch

CE Worksのkochです。全国の透析患者のみなさんや医療従事者のみなさんに、誰が見ても理解できる内容に拘って情報をお届けできるよう努力しています。 また、在宅透析支援も行っています。在宅透析の導入~管理まで、支援する環境が整っておりますので、お話だけでもさせて頂ければ幸いです。

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