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透析膜

特定積層型H12(AN69)はMIA症候群への切り札

更新日:

積層型!使ってますか?
患者さんにとっては聞きなれない言葉なのかな?ダイアライザの1種です。
角ばっていておしゃれな形してるんですよ。この膜は今メインで使われているPS膜(ポリスルフォン膜)などとは特性が全然違います。紹介していきたいと思います。

AN69膜 H12ヘモダイアライザの歴史

1969年にフランスのリヨンで開発。開発年にちなんでAN69と命名される。
生体腎の構造、機能を強く意識して設計された
1972年にAN69膜を用いた透析器が誕生(RP-6)。H12はRP-6開発から12年目であることを記念して命名される。
とてもまじめなダイアライザなんですが、命名の仕方だけはざっくり感がすごいです。

AN69の特徴 陰性荷電と親水性

陰性荷電?なんのこっちゃと思うかもしれませんが、膜自体がマイナス荷電なんです。膜がマイナス荷電を持っていることがAN69膜の最大の特徴であり、現在も愛されている臨床効果を発揮するわけです。

陰性荷電はアルブミンを跳ね返す

アルブミンはNegative Chargeのため、膜との間のチャージバリアでアルブミンが跳ね返されるため、アルブミン吸着・透過しないのが特徴となります。

陰性荷電は陽性荷電物質を吸着する

炎症性サイトカインや活性化補体はPositive Chargeされています。そのため膜に吸着されます。AN69に慢性炎症改善効果があるのはここに起因しています。

親水性

現在メインの合成高分子膜と違い、膜が親水性を持っています。膜が親水性を持っていることが透水性を上げるために必要です。一般の合成高分子膜は親水化させるためのPVP(ポリビニルピロリドン)を使用しますが、AN69膜には必要ありません。
PVPが溶出することで患者の病態に何らかの悪い影響を与える可能性があると言われています。

AN69の吸着特性(画像はイメージです)

MIAの切り札 AN69

MIA症候群に関しては詳しくは下記参照。

透析の敵 MIA症候群

続きを見る

低栄養と慢性炎症を認める患者さんは動脈硬化性心血管疾患を高率に発症する病態。
低栄養?慢性炎症?積層型で対応しましょう。

低栄養

高効率透析やOnlineHDFではアルブミンが多少抜けてしまいます。栄養状態のいい患者さんに対しては問題ありませんがMIA病態にとっては大問題です。
AN69膜ではアルブミンはチャージバリアにより膜から跳ね返されます。重要なAlb損失のリスクが無くなります。

慢性炎症

炎症性サイトカインは陽性チャージされています。そのため炎症性サイトカインは膜に吸着されます。結果として慢性炎症状態の改善が見込まれます。

 

アミノ酸の除去率比較

栄養素の抜けの比較資料がありましたので紹介します。アミノ酸の抜けをAN69膜とPS膜で比較した試験ですが、アミノ酸の抜けも有意にAN69膜で少ないため、栄養状態を悪くしない膜であると言えます。

白井ら 腎と透析別冊(東京医学社)2014 より抜粋

末梢循環改善効果

AN69膜には血管拡張物質ブラジキニン反応ゆえの末梢循環を改善する効果があります。AN69膜はその特性ゆえに難治性下肢潰瘍の治癒に効果があるとの報告もあり、近年フットケア領域でも注目を浴びています。
また、末梢血管拡張によるプラズマリフィリングの促進により、透析中の△BVの減少率を軽減させ、血圧維持にも寄与するデータがあります。

Baxter Clinical Infomation Vol.5 より引用

取り扱い注意!

昔の透析機器ですとプライミングは手動でした。普通の中空糸型のダイアライザと違い、プライミングには複雑な手技が要求されていました。(慣れればどうってことないんですが)
今は、各社全自動プライミングの透析機器であり、積層モードを搭載していますので、誰でも容易に取り扱うことが可能となりました。

まとめ

栄養障害の予防・改善のための理想的な透析治療とは?

ポイント

炎症性サイトカインの産生抑制や除去効率を高める

過度な栄養素の損失を抑える



MIA症候群の切り札としてAN69膜は有用であり、今後の長期高齢化透析患者さんのケアにさらなる活躍が期待されます。

 

  • この記事を書いた人

koch

CE Worksのkochです。全国の透析患者のみなさんや医療従事者のみなさんに、誰が見ても理解できる内容に拘って情報をお届けできるよう努力しています。 また、在宅透析支援も行っています。在宅透析の導入~管理まで、支援する環境が整っておりますので、お話だけでもさせて頂ければ幸いです。

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