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透析一般

BV計を活用しましょう

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BV計(循環血液量モニタ)使っていますか?
これは透析回路を通る血液のBloodVolumeを測るためのデバイスであり、各社オプションで付けているものなので、病院によっては付いている機械がない場合もあると思います。
ですが、BV計モニタは安全な透析を行う上で非常に重要なデバイスですので、BV計についてと波形の見方を紹介していこうと思います。ちなみに私は日機装社製BVモニタを使用することが多いため、日機装BVモニタの説明となってしまいますことをご了承ください。

BV計とは

血液透析での循環血液量の変化は以下の2点の差で決定されます。
①除水による循環血液量の減少
②プラズマリフィリングによる血漿の再充填
「除水速度>リフィリング速度」であることが多いため一般的には経時的に△BVが下がっていきます。
この差によって患者さんの循環血液量の減少具合が決まり、循環血液量が少なくなるに連れて血圧低下や下肢攣れなど諸症状が出現する可能性が高まります。
BV計ではこの循環血液量の変化率を経時的にモニタリングすることができ、血圧低下を未然に防ぐことや、DWの決定に役立てることができます。

BV計簡易モデル

BV計波形グラフの見方

BV波形は横軸に透析時間、縦軸に△BV(循環血液量減少率)を取ったグラフで示されます。
一般的に循環血液量が-15%を下回ると、血圧低下などの諸症状が出現すると言われているため、そこに至る前に除水停止などの対策を講じることで、安全な透析を実施することが可能となります。
しかし、患者さん毎に個人差があるため、一人一人の患者さんの測定を何度も行い、個々の危険ポイントの把握を行うことが大事です。

理想的な△BVグラフ

危険波形

-15%を下回ると血圧低下などの諸症状が現れやすいと記載しました。以下のようなグラフ傾向の場合には、注意が必要です。

ΔBV危険領域

△BVの急激な減少により、ショックを起こしてしまう可能性もあります。透析はなるべく安楽で無侵襲な治療でなければなりませんので、危険領域に入る前に対応することが必要です。
患者さん、透析に従事しているみなさん、経験がある方が多いと思いますが、血圧低下によるショック症状は突然来ますよね。さっきまで血圧150あった患者さんが5分後にショック状態で血圧測定不能なんてことも稀にあります。
血圧測定って大体の施設が1時間に1回、多くて2回くらいしか測定してませんよね。血圧モニタリングだけですと、測定と測定の間の時間帯のケアが非常に難しいです。
BV計を導入することにより、血液量の経時変化をモニタリングができるため、より安全な透析を実施することが可能となるわけです。

除水停止時の波形で分かること

除水停止時の波形変化

上のグラフをご覧ください。透析中に△BVが-15%を下回ったため、除水停止をして回復を待っているイメージです。

①この状態は△BVの戻りが早すぎるため、シャントのリサーキュレーション(再循環)が疑われる所見です。シャント状態のチェックや再循環測定をする必要があります。

②除水を止めたことである程度リフィリングにより△BVが回復しています。リフィリングにより血液量が増加するのであれば、血管外(細胞間質 細胞内)にはまだ水分の余裕があると考えられます。
そのため、この△BVの減少はリフィリング速度に比べて除水速度が早いことに起因していると考えることができます。除水速度の再検討が必要、場合によっては時間あたりの除水量に制限をかけ、透析時間を伸ばす対処が必要となります。

③除水を止めてもリフィリングが行われていないため、△BVが上がってきません。これは血管外に水分の余裕がないためです。ドライウェイトの再検討をする必要があります。
また、低栄養由来のリフィリング不良も考えられます。Albが低下している患者さんは血管内に水の保持が出来ず、血管外に出てしまい溢水・浮腫の状態となります。低栄養の原因検索が最優先になるかと思います。

透析における浸透圧の考え方

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アクセス再循環測定

BV計でアクセス再循環測定を行うことができます。これは以下の原理で測定が行われます。
1.反射光強度の変化から循環血液量変化率(△BV)のモニタを行う近赤外光反射方式を用いたもの
2.測定原理
①短時間で早い除水を行うことによって血液マーカーを付与する
②静脈側BV計で測定する
③動脈側BV計の濃縮率の変動をモニタし、再循環率を算出する

オーバーナイト透析への活用

血圧測定と違い、BVモニタリングは非侵襲で経時モニタが可能なため、オーバーナイト透析のバイタル管理に血圧測定ではなく、BVモニタのみで行なっている病院も増えてきています。
オーバーナイト透析で睡眠中に毎回血圧測定で起こされてしまうのは非常に煩わしいと思います。
長時間透析ゆえに除水速度もゆっくりかけることができ、BVモニタで危険ポイントを回避することが可能であれば、血圧を計らずとも安全な透析ができることは間違いありません。

まとめ

血液透析療法は、患者さんにとって出来るだけ苦痛なく無侵襲な治療であるべきです。
BV計の活用により、患者さんの危険ポイントを把握、未然に対処することが可能となり、患者さんにとって安楽な透析を提供することが可能となります。
BV計、ガンガン活用していきましょう。

  • この記事を書いた人

koch

CE Worksのkochです。全国の透析患者のみなさんや医療従事者のみなさんに、誰が見ても理解できる内容に拘って情報をお届けできるよう努力しています。 また、在宅透析支援も行っています。在宅透析の導入~管理まで、支援する環境が整っておりますので、お話だけでもさせて頂ければ幸いです。

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