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透析一般

透析中アラーム~静脈圧警報~

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透析中のアラーム、気になりませんか。 静脈圧警報(下限・上限)、透析液圧警報(下限・上限)、TMP警報(下限・上限)気泡検知警報・・・上げればキリがありません。 今回は静脈圧警報が鳴った時に、スタッフが何を見ているのか、何を見なければならないのかを紹介しようと思います。

なぜ鳴る?透析中のアラーム

透析中には様々なパラメーターのモニタリングがされており、平静状態から外れることでアラームを発するようになっています。
ここで紹介する静脈圧警報は透析治療において一番目にするアラームかと思いますので、新人スタッフの皆さんはしっかり覚えておきましょう。

静脈圧の基準値

そんなものはありません。
しいていうなら、患者さん毎の今までの透析中の静脈圧の平均値とでも言っておきましょうか。
この患者さんは静脈の流出路狭窄があるからいつも高めなのに今日はなんで低いんだろう?なんて思えれば完璧です。
静脈圧はVチャンバーの圧力のため、透析回路から患者さんの静脈側への血液の戻りやすさの指標となっています。

静脈圧上限警報

シャント肢の屈曲

平均4時間を患者さんはベッドの上で過ごします。体を動かすなというほうが無理な話です。シャント肢を曲げて血液の流出路が折れ曲がったりすれば、血液は静脈に戻りづらくなりますので、上限警報を発します。

静脈側穿刺部より中枢に狭窄や血栓性閉塞がある

シャント肢を曲げたときと同様に、流出路に障害があるため上限警報を発します。
狭窄や血栓性閉塞はすぐさま対処できる問題ではありません。透析が継続できないレベルであれば、再穿刺の判断が求められます。

Vチャンバ凝固

血液過濃縮状態や抗凝固剤の注入量のミスなどにより、Vチャンバメッシュ部が凝固、血液が静脈側に戻りづらくなり、上限警報を発します。
凝固により静脈圧制御が不可になった場合は、静脈側回路交換などが必要になる場合があります。また経過時間によっては医師の指示のもと回収をする場合もあります。

静脈側回路の屈曲

Vチャンバ~静脈穿刺部までのラインに体動などによる屈曲が起きることで、血液が戻りづらくなり、上限警報を発します。

穿刺ミスなどによる血種

V穿刺部より中枢側に血種などができてしまうと、流出路障害のため静脈圧上限を発します。血流を落としてゆっくり回すこともできますが、それでも頻回に警報を発するのであれば再穿刺の判断が求められます。

静脈圧下限警報

脱血不良

何らかの原因(シャント肢屈曲やシャント不良、動脈側回路折れ曲がり等)で、血液ポンプの設定血流量を脱血できない場合、結果として静脈チャンバーに流れ込む血液量が減り、下限警報を発します。
脱血不良の際は、A穿刺部~血液ポンプまでの陰圧が強くなり、回路内に微小気泡が発生します。これを報知しますと回路内が微小気泡まみれになり、透析の続行が不可能となることがありますので、注意が必要です。
脱血不良の際は、回路のバックフロー(しゃくる)や、ピローの萎みでも判断することができます。回路のバックフローに関しては後述します。

Aチャンバ・ダイアライザ凝固

Aチャンバメッシュ部やダイアライザが凝固することで、結果としてVチャンバに流入する血液量が減り、下限警報を発します。

脱血モニタリング

透析中の脱血のモニタリング、どうやって確認してますか?
理想は実血流量をモニタリング出来ることだとは思いますが、全コンソールに実血流モニタが付いている施設は少ないと思います。
ピロー付き回路であれば、その凹み具合である程度脱血モニタが出来ますが、最近の回路は凝固の原因を取り除くためピロー無しへとシフトしています。
脱血が悪い状態の時は、血液ポンプ出口側のラインのバックフローが強いこと、お気付きですか?しゃくってる感じのやつです。

回路のバックフローの原因

脱血不良が強いとき、血液ポンプ出口から動脈チャンバーまでのラインがバックフローが強い(しゃくっている)のは何故でしょう?
下図はダブルヘッドのローラーポンプをまっすぐにした模式図です。
右から左に血流が流れ、ローラーポンプヘッドも回っているイメージです。
下図の上、ポンプ後は陽圧ですが、ヘッド間およびポンプ前は陰圧の状態です。
下図の下、ローラーが回るとポンプヘッド間の陰圧が解放され、陰圧の強度によってポンプ後のライン(陽圧部)からの引き戻し現象が発生します。
これはポンプヘッド間の陰圧強度が強いほど引き戻しが強いため、脱血不良時のバックフローが強く出ることになるのです。

脱血不良時の回路しゃくれの原因

静脈圧警報まとめ

国家試験で静脈圧の上がる原因、下がる原因なんて問題がありました。国試の時は丸暗記でしたが、プロとして「何故圧が変動するのか」の理論を持って対処に当たるよう心がけましょう。

おまけ

透析液圧の上限下限も大体は同じ対処でOKです。
TMPの項で書きましたが、基本的に透析機械はTMPを一定に保とうとするため、静脈圧が上がる→透析液圧が上がる という同じ流れをたどるからです。
静脈圧が不変で透析液圧が上下に振れるのでしたら、それはTMPの変動を意味しますので別の対処が必要になりますね。

TMP (膜間圧力差)について

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koch

CE Worksのkochです。全国の透析患者のみなさんや医療従事者のみなさんに、誰が見ても理解できる内容に拘って情報をお届けできるよう努力しています。 また、在宅透析支援も行っています。在宅透析の導入~管理まで、支援する環境が整っておりますので、お話だけでもさせて頂ければ幸いです。

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